スポーツのパフォーマンスを高めるために重要な視点の1つは、基本的なフィットネスレベルの向上です。筋力や柔軟性、エアロビックパフォーマンスを高めることは、社会人スキーヤーにとっても非常に重要です。
そして、もう1つの視点は、スキー特有の動きを取り入れたトレーニングを行うことです。単純に形を真似るのではなく、ターン動作に必要なカラダの使い方が出来るようになることが目的です。
今回のスキーオフトレワークショップでは、股関節・膝関節・足関節という3つの関節の連動性を高め、スキーのたわみを引き出すためのパワフルな脚の使い方をレクチャーしました。
3つの関節(股関節・膝関節・足関節)の中で、今回とくに重視したのが「股関節」です。理由は大きく3つあります。
- 股関節は3つの関節の中で周辺に大きな筋肉群があり、パワーの発揮にもっとも貢献すること
- 股関節周辺に大筋群があるために、可動性が低下しやすいこと
- 股関節が上手く機能しないと膝関節への負担が増え、膝傷害のリスクが高まること
普段の生活動作とターン動作の違いは、①横方向の動き(ラテラルムーブメント)が日常より多いこと、②外力(重力や遠心力)に耐えながら速度・方向・スキーの反発を吸収し調整する能力が求められること、の2点に集約されます。この2つの特性を改善・向上させることが、雪上パフォーマンス向上に繋がるフィジカルトレーニングです。
今回は段階的にスキーへ働きかける脚パワーを高められるよう、3つのセッションで構成しました。
- セッション①:股関節の動的可動性を高めるモビリティエクササイズ
- セッション②:3関節の連動性を高めるファンクショナルトレーニング
- セッション③:ターンムーブメントを意識した、片脚でのパワートレーニング
セッション①では股関節の動的可動性を確保し、股関節主動で力を発揮できる土台をつくりました。セッション②では股関節・膝関節・足関節の連動を意識しながら、スネの前傾角を一定に保つファンクショナルな動きへと発展させました。そしてセッション③では、これらをターンムーブメントに近い片脚支持の動きに統合し、実際の雪上場面に近いパワー発揮へとつなげました。
そして、参加者の皆様には、今回のトレーニングで押さえておくべき点として、以下の3つをお伝えしました。
- 股関節の柔軟性を高めること
- スネの前傾角を一定に保って、股関節主動の力の発揮を意識すること
- 上記の2つを合わせながら、素早く動くこと
荷重位置が正しくても、スキーのたわみを引き出すには一瞬のパワーが求められます。スキーのターン切り替えやエッジング動作は、0.2〜0.3秒程度という短い時間で強い力を発揮する必要があります。

ただし、プライオメトリクスはベースの筋力トレーニングがあってこそ効果を発揮するものであるため、筋力的にまだ不足を感じている方は筋トレと並行してプライオメトリクスを行い、すでに筋力が鍛えられている方はプライオメトリクスの頻度やバリエーションを増やしていくのがおすすめです。
ご参加いただいた皆様、荒天の影響が心配される中お越しいただき、ありがとうございました。
※次回以降の「スキーオフトレワークショップ」のスケジュールはこちら
https://www.s-challenge.com/workshop/
1995-2016 財団法人日本オリンピック委員会 選手強化スタッフ
|1995-2014 財団法人全日本スキー連盟 競技本部強化委員会強化委員、医科学委員会委員 |