グローバル筋とローカル筋

Last Updated on 2021-05-02 by ezy

全身には約600の筋肉があります。筋肉によって形や大きさ、構造はかなり異なりますし、各筋肉の役割もさまざまです。

その沢山ある筋肉は、大きく3つの切り口で分類することが出来きます。

3つの分類

筋細胞の「性能」で分類すると、「白筋・赤筋」「速筋・遅筋」「タイプ1・タイプ2」「FT(Fast Twitch)・ST(Slow Twitch)」となります。白筋=速筋=タイプ2=FTで、収縮速度が速く、高出力が得意な筋細胞です。筋トレで鍛えているのがこの筋肉群となります。赤筋=遅筋=タイプ1=ST は毛細血管が発達していて血液中の酸素を利用しやすいことから、有酸素運動で主に沢山使われます。

筋肉を「位置」的に分類すると、「アウターマッスル・インナーマッスル」という分け方になります。表層にあるのがアウターマッスル、深層にあるのがインナーマッスルになります。

筋肉の役割や「機能」で分類すると「グローバル筋・ローカル筋」になります。グローバル筋は手脚や体幹を動かす時にメインに使われる筋肉群(主動筋)で、ローカル筋はグローバル筋が運動した際に補助的に機能したり、姿勢を保持する役割を担っています。

特に姿勢保持の機能性を高めたい場合、ローカル筋が非常に重要な役割を果たします。

インナーマッスル = ローカル筋?

最近一般の雑誌や書籍、ブログ等でもアウターマッスルやインナーマッスルという言葉を見聞きするようになりました。特にインナーマッスルの重要性を取り上げているものが多く、「インナーマッスルは姿勢を維持するのに重要なのでしっかり鍛えましょう!」とか「インナーマッスルはアウターマッスルを補助しています」など、書かれています。

ただ、トレーニングジムなどで研修をしていると、トレーニングの専門家であるトレーナーさんもインナーマッスル(位置的分類)とローカル筋(機能的分類)を混同して使っている方も多いかなと感じています。

まず学術論文でアウターマッスルやインナーマッスルという用語を使うことは殆どありません。 その理由は位置的分類というのは定義が曖昧だからです。人によってアウターとインナーの線引きが異なります。

例えば、股関節を屈曲する時の主動筋の一つに「腸腰筋」があります。股関節前面の深部にあり、直接触ることは出来ません。腸腰筋は片脚を上げるような動作でメインに使われます。

腸腰筋の様に四肢や体幹を直接動かすような機能がある筋肉を「グローバル筋」といいます。腸腰筋は深部にあるので「インナーマッスル」ですが、脚を動かす主動筋なので「グローバル筋」になります。

腕を側方に上げる(外転動作)では、肩にある三角筋中部が主に使われます(主動筋=グローバル筋)。肩甲骨のすぐ上に棘上筋という筋肉があり、三角筋と協調して腕を側方に上げる運動を補助します。棘上筋は皮下で触れるので「アウターマッスル」ですが、棘上筋だけでは腕を側方に上げることは出来ないので「ローカル筋」です。

一般的な雑誌や書籍などで「インナーマッスルは重要だ」と書かれているのは、実は「ローカル筋は重要だ」という意味で使ってる場合が殆どです。

では何故ローカル筋が重要なのでしょうか。

手脚や体幹を動かす主動筋がグローバル筋です。グローバル筋は普通に筋トレをすれば鍛えられます。

ローカル筋は常に最適な姿勢を保ってパーフェクトなフォームで筋トレ出来れば、ある程度は鍛えることが出来ます。姿勢を保持するときにローカル筋も機能するからです。しかしながら、ローカル筋が弱ければ常に姿勢を保持してトレーニングすることができません。

そもそも筋トレはグローバル筋の強化が目的なので、ローカル筋は通常の筋力トレーニングとは別に鍛える必要があります。

ローカル筋の鍛え方

グローバル筋は最大筋出力の70%前後の負荷が必要です。ある程度の重さを持ち上げたりしないと鍛えることが出来ません。対してローカル筋は最大筋出力の40-50%の筋出力でOKです。よって自分の体重を負荷にしたサスペンションエクササイズ®︎やバランスボールエクササイズ、トレーニングチューブやレジスタンスバンドなどで抵抗を加えれば負荷になります。

ローカル筋を鍛えるトレーニングの際に重要なポイントがあります。それは「正しい姿勢の保持」です。

多くの方が立っていて最初に疲れを感じるのは背中だと思います。多くの方がカラダの前面にある腹直筋や大胸筋といったグローバル筋の方が強く、強い筋肉は短縮しやすいので、背中が丸まりやすくなります。背中が丸まりそうになった時、意識して姿勢を維持しようとすれば、背部・腰部のローカル筋が使われます。

前述した腕を側方に上げる運動にしても、正しいフォームでトレーニング出来ていれば、三角筋だけでなく棘上筋も使われますが、肩を竦めて腕を上げるような動作でトレーニングすると、僧帽筋など他のグローバル筋が多く使われ、棘上筋が鍛えられません。

正しいフォームを意識して、グローバル筋だけではなくローカル筋も機能的役割を果たしながら運動し鍛えていくのが「ファンクショナルトレーニング」です。

姿勢保持に役立つローカル筋を鍛えるのには「揺れる」状態でトレーニングするのが一番効果的という研究結果があります。具体的にはTRXなどのサスペンションエクササイズ®︎、バランスボールやバランスディスクのように多面的に動くエクササイズなどが有効です。

そしてグローバル筋とローカル筋の機能的統合をしていくには、チューブやレジスタンスバンドを使ったファンクショナルトレーニングが必要となります。

バトルロープエクササイズはロープを振るときに使われるグローバル筋とロープの反動や振動を吸収し、姿勢を保持するローカル筋、両方使われるのでとても良いファンクショナルトレーニングです。

「ファンクショナルトレーニング」って、アスリートがする専門的なトレーニングのイメージを持っている方も多いかと思いますが、ローカル筋を鍛えるためには一般の方にも必要不可欠なトレーニングです。

S-CHALLENGE でトレーニングプログラムを提供している一般社会人のクライアントの皆さんは、スキー上達も大切なトレーニングの目的ですが、スキーを長く続ける・ゲガをしない、というのは非常に重要なトレーニングターゲットになりますので、ローカル筋強化目的のファンクショナルトレーニングを多めに設定しています。

まとめ

個々に割合は異なりますが、スキーヤーがグローバル筋を鍛える目的のトレーニングとローカル筋を鍛えたり活性化する、あるいはグローバル筋とローカル筋を統合していくトレーニング、両方組み入れてプログラミングするなど、目標に向けて割合を調整する時期は9-10月の時期になります。

グローバル筋を鍛える目的のストレングストレーニングでも正しいフォームでのトレーニングは重要ですが、バランスボールやサスペンションエクササイズ®、レジスタンスバンドや自体重負荷のファンクショナルトレーニングでは、ローカル筋にしっかり刺激を与え活性化させていくために、特に姿勢やフォームに注意を払ってトレーニングしてみて下さい。

S-CHALLENGE Training Program Works
代表/フィジカルトレーナー 飯島庸一

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