ミドルパワーを高めるために必要なこと

Last Updated on 2021-05-02 by ezy

S-CHALLENGE Training Program Works にはオーダーメイドでトレーニングプログラムを作成する「プログラムサポート」というサービスがあります。普通の社会人スキーヤーの方や中学・高校・大学生のスキーヤーの方もいます。

プログラムサポート」を利用している高校生や大学生スキーヤーの方から、特に8-9月に多くなるリクエストの1つに「ミドルパワーを高めたい」「筋持久力を強化したい」というものがあります。

このようなリクエストをくれる選手ほど、かなり真面目でストイックに練習しているタイプが多いような気がします。

陸上競技だと400m走とか800m走とかに該当する一番きつく感じる(実際キツいです)トレーニングがミドルパワートレーニングで、40-90秒くらいの運動時間です。

トレーニング自体、非常にハードなものになるので、トレーニングした選手の満足感は大きいと思います。ミドルパワートレーニングや追い込みトレーニングは「やった感」「トレーニングした充実感」が得られます。

「やった感」を感じることは、全然悪くないのですが、ただ「やった感」を得るためだけにミドルパワーのトレーニングをするべきではない、と思っています。

何のためにトレーニングするのか、といえばスキーが上手くなる・速くなるためにトレーニングしているので、ミドルパワーもスキーヤーとしてのパフォーマンス向上に役立つ形でないと意味がありません。

では、スキーヤーとしてミドルパワーを高めるために必要なことは何でしょうか?

メインのエネルギーは「筋グリコーゲン」

2つポイントがあります。

1つは、ミドルパワーで使われるエネルギーを蓄えるに十分な筋肉が養成されているか、という点です。ミドルパワーの運動でメインに使われるのは「筋グリコーゲン」です。

このエネルギー物質は筋トレで鍛えられる筋肉の中に貯蔵されます。筋トレで筋肉の容量が多くなれば、貯蔵される筋グリコーゲンも多く蓄えることが出来ます。

「ミドルパワーのトレーニングをしたい」と思った時期に、筋肉が十分増やせなかった場合は、もう少し筋トレに時間を割いて、筋肉を増やすことが優先した方が、最終的にはミドルパワー向上に役立ちます。

追い込み系トレーニングよりも、しっかりベースとなる筋トレに時間を割いた方が良いので、筋トレの成果をチェックして、ストレングストレーニングとミドルパワートレーニングの頻度やボリューム調整をしていくと、うまく仕上がってシーズンインを迎えることが出来ます。

乳酸値と動作精度の関係

2つめは「動作の精度」も重要な要素となります。

筋グリコーゲンが燃焼されると、乳酸が生じます。乳酸は昔は疲労物質と言われていましたが、乳酸は十分な酸素供給があれば、運動エネルギーとしてリサイクルされる物質で、第二の栄養源です。

血液中の乳酸値を計測するとグリコーゲンがどれだけ使われたか、間接的に把握出来ます。

陸上競技の短距離走の選手は、速い選手ほど乳酸値を高くすることが出来ます。沢山の筋グリコーゲンを一気に燃焼出来るので、パワーも最大化出来ます。その結果、乳酸値レベルが高くなります。

テニスでの実験で、選手の乳酸値を測定すると、ラリーで打ち勝っている選手は乳酸値が低く、負けている選手は沢山走り回ることになるので乳酸値は高く出ることがわかっています。

アルペンスキーの場合、速い選手は無駄な動きが少なく、運動時間も短いので乳酸値は低く、沢山リカバリーが必要になった遅い選手は乳酸値が高くなります。

競技によって、乳酸値=筋グリコーゲンの使われ方のイメージは異なります。陸上競技や水泳など記録競技のスポーツにおける乳酸値に対する対策やトレーニングと、スキーや球技のように別の要素が大きく競技パフォーマンスに影響するスポーツでは、トレーニングの視点をわけて考えるべきです。

スキーの場合、テニス同様無駄な動作を無くすことが、筋グリコーゲンをセーブすることに繋がり、結果雪上パフォーマンスに直結します。

スキーは重心を常にコントロールすることが非常に重要なので「動作の精度」を高めるトレーニングは、他の競技よりも重要度は高いですし、ミドルパワートレーニングをスタートする前に、十分トレーニングしておくべき要素です。

ラダーでスムーズな重心移動が出来るか、片脚でバランスコントロールしながら色々な動作が出来るか、バランスコントロール能力を高めることも、スキー競技においてはミドルパワーのパフォーマンス向上に重要です。

まとめ

トレーニングで結果を出すためには、ただトレーニングを頑張るだけではなく「戦略」が非常に重要です。

十分な筋量が養成出来ていなければ、もう少し筋トレに時間を割く。片脚支持バランスや機能的な動作の精度が高くないのであれば、ファンクショナルトレーニングなどにも時間を割くことが大事です。

ミドルパワートレーニング自体やることはとても良いことですが、「やった感」を得るためのトレーニングでは結果につながりません。

限りあるトレーニング時間を有効に使うためにも、ミドルパワートレーニングをする前にしっかり自分のフィジカルパフォーマンスをチェックしてから、実施していきましょう!

S-CHALLENGE Training Program Works
代表/フィジカルトレーナー 飯島庸一

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