滑る前にウォームアップで神経系に刺激を与えて怪我予防


サッカーにおける膝関節前十字靭帯損傷の事例

サッカーにおける膝関節前十字靭帯損傷について、2020年6月にイタリア・ボローニャのFIFA Medical Center から発表された興味深いリサーチがありました。スキーヤーにも共通する内容でしたので、シェアしたいと思います。

Systematic video analysis of ACL injuries in professional male football (soccer): injury mechanisms, situational patterns and biomechanics study on 134 consecutive cases 2020

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32561515/

サッカーはコンタクトスポーツなので、タックルなど相手との接触シーンがあります。接触シーンが多ければ怪我の発生も増えると想像しがちですよね。

サッカーでの膝のケガ(ウォームアップ不足)

今回のリサーチでは、サッカーのACL損傷の多くは、非接触(44%)または間接接触(44%)で発生していた、ということを述べています。

コンタクトスポーツなのに非接触や間接接触での怪我が多い、というのはかなり驚きのデータです。

非接触は自分でバランスを崩して転倒したりして怪我するパターン、間接接触は相手の足につまずいた後に膝を捻ったりして前十字靭帯が損傷するパターンになります。

スキーも非接触型の障害は多い

スキーの場合、スキーヤー同士がぶつかって怪我をするパターンもありますが、多くは単独の転倒による怪我です。

私のトレーナーとしてのサポート経験のなかで、「ターンしている最中にちょっと後傾姿勢になりスキーが走った瞬間に切れた」とか、「ピステンの段差で少しスキーが跳ねた瞬間に切れた」とか、「ちょっとしたジャンプで着地した瞬間に切れた」という選手が一定数いました。

この様な非接触型の膝障害を減らすには、地面に最初に接触する直前の神経認知が重要とされています。

例えば「片脚で体重を支持しながら動作を行うエクササイズ」は片脚でバランスをコントロールする際に、常に足裏の皮膚にあるセンサーから脳に姿勢制御に必要な情報を送り、それを脳が分析して支持脚の筋肉に司令を出す、ということをリアルタムに行っています。

神経伝達系に刺激を加える一番簡単な方法は、「片脚で立つ」「片脚で立った状態で股関節を動かす」「片脚でジャンプする」など、片脚支持バランスのエクササイズです。トレーニングアイテムが無くてもできますし、狭いスペースでも実行出来ます。

片脚支持バランスを伴ったエクササイズを滑る前におこなうことで、ケガ予防に効果的なウォームアップをすることができます。怪我のリスクを少しでも回避するために、ぜひ取り入れてみてください。

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