様々なスポーツパフォーマンスと片脚支持バランス能力に相関関係があることがいくつかのエビデンスで明らかになっています。勿論、スキー操作性のパフォーマンスについても、高いレベルの片脚支持バランスが求められています。

2016年にベルギー・ルーベン大学から発表された研究報告によれば、片脚立ちでの姿勢安定性が前十字靭帯(ACL)損傷や足首捻挫とも高い関係性があるとのことです。片脚支持バランスの能力向上は、スキーでの怪我のリスク低減にもつながります。

今回のスキーオフトレワークショップでは、片脚支持バランスの向上を目的としたトレーニングをしていく上で、不可欠な3つのアプローチを行いました。
①足と足関節の機能性向上
膝から下には片側に26の筋肉があります。普通に下腿や足の筋肉をストレッチする場合、腓腹筋、ヒラメ筋、前脛骨筋くらいではないでしょうか? 今回のスキーオフトレワークショップでは、腓腹筋、ヒラメ筋、前脛骨筋のほか、後脛骨筋、長母趾伸筋、長趾伸筋、長趾屈筋、長母趾屈筋、長腓骨筋、短腓骨筋、第三腓骨筋、足底方形筋、母趾外転筋、それぞれのストレッチとアクティベーション方法をレクチャーさせて頂きました。

細かい筋肉が使えるようになることで、足と足関節の機能性は格段に向上します。
②股関節の機能性向上
特に中殿筋と大殿筋の機能性を高める事が、片脚支持バランス向上には大切になってきます。自重で行えるエクササイズバリエーションを皆さんに実践してもらい、適切なフォームで実施出来ているか、代償している筋肉はないか、細かくチェックしながら行ってもらいました。

③体幹回旋筋群の機能向上
立位で体幹の回旋動作をトレーニングする場合は、レジスタンスバンドを使用すると非常に効率的にトレーニング出来ます。今回のスキーオフトレワークショップでは、参加者同士でバディを組んで頂き、1人がアンカー(レジスタンスバンドを固定して保持している役割)になっていただき、もう1人がトレーニングする、という形で行いました。

腹斜筋群は普段の生活では、あまり多用する場面がありませんが、球技などスイング動作を伴うスポーツと同じくらい、スキーでは沢山使われます。どうしても体幹トレーニング=腹筋・背筋と前後の筋肉群が多くなりやすいので、回旋動作のトレーニングは非常に重要です。

最後に片脚支持バランスのエクササイズを実施。冒頭、いくつかのエクササイズを実施してもらっているので、3つのアプローチ前と後の効果を体感出来て、皆さん非常に納得の表情をされていました。

今回のように段階を踏んで、正しくアプローチすれば誰でも片脚支持バランスの機能性は向上します。単に片脚でのエクササイズをたくさん行っても、効率的かつ効果的に片脚支持バランスを鍛える事は出来ません。スキーヤーは斜面を滑り降りる中で、精度の高い片脚支持バランス能力を身につける必要があるので、機能解剖とスキー力学の視点からトレーニングを考える必要があります。
今回のスキーオフトレワークショップの内容は、後日レクチャー動画にして販売します。遠方でこのスキーオフトレワークショップに参加するのが難しい方、片脚支持バランスの向上に興味がある方は、是非ご利用ください。
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ご参加頂いた皆様、お疲れさまでした。
ありがとうございました!
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S-CHALLENGE Training Program Works 代表/フィジカルトレーナー
アルペンスキー選手やプロスノーアスリート、スポーツ好きの社会人クライアントへ、個別のトレーニングプログラム作成サービスを展開し、パフォーマンス向上をサポート。日本スポーツ協会 公認アスレチックトレーナー(JSPO-AT)、全米スポーツ医学アカデミー 公認コレクティブエクササイズスペシャリスト(NASM-CES)